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2018年01月12日作成
2019年08月27日更新
アップルがバッテリー劣化したiPhoneを性能低下させていた問題について、今まで4回の記事で紹介してきましたが、この記事で発生から現状までまとめました。
■アップルへの疑惑
事の発端は、2017年12月に一人のiPhone6sを使っている海外のユーザーが掲示板へ投稿したことから始まりました。
その投稿内容は、iPhone6sをiOS11にアップデートしてからiPhoneの動作が遅くなったというものです。
最初はiOS11への不満でしたが、投稿者の弟が使用しているiPhone6 Plusよりも動作が遅いことに疑問を持ち、原因を調べてバッテリーに原因があることを突き止めました。
投稿者が使用していたiPhone6sのバッテリーは経年劣化しており、最大時の80%のパフォーマンスしかない発揮できない状態でした。
そこでバッテリーを交換すると、動作速度が改善したことでバッテリーの劣化に問題があり、劣化したバッテリーを使用しているiPhoneは動作が遅くなるように制御されているという結論に行きつきました。
投稿には、バッテリー交換前と交換後のCPUの性能テストの数値も公開されています。
この投稿に対してたくさんのコメントが寄せられ、アップルが意図的に古くなったiPhoneの性能を落として買い替えを促進しているという内容が、海外のWEBのニュースメディアで多く取り上げられるようになりました。
■アップルの説明
アップルはこの問題が次第に大きくなってきたためか、掲示板への投稿から約10日経った2017年12月20日に、iPhoneの性能を低下させていることを説明して認めました。
性能を意図的に低下させている機種は、iOS10.2.1以上のiPhone6、iPhone6 Plus、iPhone6s、iPhone6s Plus、iPhoneSEとiOS11以上のiPhone7、iPhone7 Plusです。
対象機種は今後拡大していくようです。
今回の説明によると、劣化してパフォーマンスが落ちたバッテリーを使用していると、iPhoneが突然シャットダウンすることが起きていたため、iPhoneの性能を抑える措置はその問題を改善するためで、バッテリーを交換することで改善するとしています。
このiPhoneが突然シャットダウンする問題を改善した措置は、2017年1月24日配布開始のiOS10.2.1から始まったため、1年近くも前から性能低下の制御をしていたことになります。
この時、アップルはiPhone が突然シャットダウンするのを防ぐために、ピーク作業時の電源管理を改善とアップデート内容を発表していました。
ユーザーがiPhoneのバッテリー状態を確認できるようにしたり、経年劣化したバッテリーを使用することで意図的にiPhoneの性能を抑えること、バッテリーを交換することで改善することを説明していればここまで大きな問題にはならなかったかもしれません。
iPhoneやほとんどのスマートフォンで採用されているリチウムイオンバッテリーは、経年劣化で電力の供給能力が低下するという性質があるため、アップルがとったiPhoneの性能を低下させるという処置は理にかなっています。
しかし、ユーザーへの説明とバッテリー交換という選択肢を示すことをしなかったことが今回の問題ではないでしょうか。
■アップルの対応
アップルは12月20日の説明で、2018年1月から12月までバッテリー交換の費用を値下げすると発表しました。
ただし、詳細は後日発表ということでいつから開始されるか、その適用条件については説明がありませんでした。
そして、年が明けて気が付くとアップルのHPのバッテリー交換の料金表が更新されており、期間中に1台につき1回まで割引価格でバッテリー交換を行うと記載がされていました。
このあたりも事前にいつから開始など情報を公開してほしいと、ユーザーとしては思いました。
■アップルへの反応
ユーザーに説明なしでiPhoneの性能を低下させていたということで、いくつかの地域ではアップルに対しての訴訟も起きています。
また、バッテリー交換の値引きに関しても、一部のユーザーからは無料ではないことで、批判がさらに強くなりました。
1月9日にはフランス当局が、アップルがiPhoneを「計画的陳腐化」させた疑いで捜査開始したというニュースも飛び込んできました。
消費者団体の訴えで捜査を開始しましたが、買い替えを促進する目的で故意に製品寿命を縮めたと認められた場合、年間売り上げの最大5%の罰金や禁固刑が科せられる可能もあります。
その1日後には、米国上院議員がアップルのクック氏宛に、今回の問題について質問の書簡を送ったというニュースも出ました。
発生から既に1ヵ月近く経った今でもこの問題については、動きがありますので、今後もアップルやアップルに対する動向には注目していきます。
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