目次
iPhoneをはじめとするスマホ(スマートフォン)は、テレビなどの電化製品とはちがい、普段から屋内外問わず持ち歩きます。
そのため、朝起きてから夜寝るまで使うため、手をすべらせる、すれちがいざまに人に当たるなどして落とす機会も多く、破損・故障しやすいというのが特徴だといえます。
iPhoneのメーカーでもあり、iPhoneほかApple製品の販売や修理の拠点として、直営店であるApple Storeは全国7箇所あります(2017年現在)。東京都内だけで3店舗、銀座、渋谷、表参道、そのほか仙台、名古屋、心斎橋、福岡天神に店舗があります。全国サービスとして郵送対応のApple Expressサービスもあります。
ただし、国内のiPhoneユーザーの総数に比べ、全国に7拠点という受付は常に混雑していて、完全に治るまで数週間かかることもザラです。
メーカーであるApple Store では修理と交換がありますが、少しの傷や軽微な故障でも交換となるケースが多いようです。愛着をもって使っていたスマホが心の準備なしに交換されるのもちょっと考えものです。
多くの方がよくiPhoneを購入されるのはこの携帯ショップ(ドコモショップ、auショップ、ソフトバンクショップ、ワイモバイルショップ、ヤマダ電機などの家電量販店の携帯コーナーなど)だと思います。
iPhoneの販売においては正規代理店であるこれらのお店も、修理となると事情が異なり、これらショップ自体では対応してくれることはほとんどありません。一部のショップを除き大半の携帯ショップでは「Appleまたは修理サービス業者へお願いします」という案内をされるということがほとんどです。
カメラのキタムラ、ビックカメラ、クイックガレージなどメーカーであるApple社とサービス提供連携、いわば正規代理店にある修理事業者です。
全国に約90店舗ほどありますが、②のApple Storeを入れても全国100拠点に満たないのが現実です。
そのため、②と同様の状況で常に混雑していて、修理を受けられるまで日単位で時間がかかることが多いです。
①のApple Storeと異なる点としては、ビックカメラやカメラのキタムラなど代理店ごとのサービスとなるため、対応基準、サービス内容等は各社異なります。いずれもAppleの修理工場への窓口カウンターという立場のため、原則修理対応は預かり対応となります。症状ごとにおける修理、本体交換診断は依頼後となります。
そのため修理のつもりで依頼しても本体交換価格となるケースも多く、料金が大きく異なるため、Apple Careに加入しているか確認と注意が必要です。修理対応、本体交換のいずれにせよ端末内のデータはすべて消去されてしまいます。
Appleとは正規の代理店契約のない修理店で、「非正規店、第3者修理、サードパーティーの修理業者」と呼ばれる、いわゆる街の修理業者で全国に1500店程度あります。よく言えば充実している、わるく言えば乱立しています。
サードパーティーの業者のメリットは、待たなくていい、安い、30分~即日で治るという点で、魅力的です。しかし、デメリットについては詳細を後述します。
そして、登録修理業者となります。
登録修理業者とは、一言でわかりやすくいいますと、サードパーティーの修理業者のなかでも、「国がお墨付きを与えたスマホ修理業者」だといえます。
2015年4月1日より、国は、要件などを満たした修理業者が総務大臣の登録を受けることができる「登録修理業者」制度を導入しました。
登録修理業者は、スマホなどの修理の箇所や方法が適正で、修理後、技術基準にきちんと適合していて問題がないことを確認・証明できることなどが条件となっています。
2010年のスマホ保有率は10%に満たなかったものが、わずか3年で60%超まで爆発的に増え、今は格安スマホの出現などにより保有率はもっと高くなっています。
スマホが普及し、破損・故障させてしまう人も増え、修理件数は自然増加したといえます。
登録修理業者はこちらで確認することができます。
登録修理業者(2017年8月現在)
登録修理業者になるために必要となるのは、電波法違反にならないための修理品質のチェック、修理部品仕入れの適正化、情報管理体制の徹底など、非正規店では実現できない圧倒的な企業努力が必要となります。
そのため、上記URLで確認すればわかるように、登録修理業者は意外と少ないのです。
非正規店などは、メーカーから正式な修理委託を受けていないと推定できます。街の修理業者に一度でも依頼をしたことがある方は、知らずに違法なスマホを使っている可能性もあるのです。
登録修理業者制度の導入により、街の修理業者は順次、申請を行って登録修理業者に鞍替えしていくものだと思うのが通常です。
しかし、2017年6月2日までに認定された登録修理業者は23社で、想像以上に少ないのです。
その大きな理由としては、多大なコスト負担が挙げられています。
登録修理業者の要件に“修理されたスマホが技術基準に適合することを確認できる“という旨の定めがあり、その試験コストは1機種100万円以上ともいわれています。
そのため、登録修理業者への鞍替えを選択できないでいる中小の業者をどのように導いていくのかが課題だといえます。
街の修理業者に格安で即日修理してほしいと願うスマホユーザーのなかには、技適マークが除去される可能性があることを知らずに頼む方も多いと思いますので、現状の周知体制では不十分であり、どう知らせていくのかも課題です。
確実に技適マークが残る登録修理業者であれば、安心して修理に出せるため、順次、増えてほしいところです。
たとえば、コストが高い試験を免除し、未登録修理業者に修理時、技適マーク除去について説明することを義務付ければいいのかもしれません。
しかし、技術基準を満たす担保がなくなるうえ、技適マークがなくてもいいと考える方は街の修理業者に依頼するでしょうから、抜本的な解決にはなりません。
どのようにして技術基準を満たす登録修理業者の拡大を図っていくか
修理業者は仕様や部品の開示をメーカーに決断させるためにはどう働きかけるのがいいのか
Win-Winとなれる解決策を見出していくこと、これもスマホ修理業界の今後の課題だといえます。
スマホ修理において負担すべき費用は、部品の原価、修理を行った作業者の人件費、設備費ですが、部品の原価が価格を決めているといっても過言ではありません。
スマホの部品には粗悪品から純正品に近いものまでさまざまで、安価な修理代と引き換えに手に入れる代償は粗悪品なのです。そのため品質がきちんとしていない店舗で修理を行ってしまうと、修理後に不具合をきたすケースも少なくありません。
粗悪品の取り扱いは、厳しく品質管理を徹底しているメーカーや国によって監査されている登録修理業者にはできないことです。
近年、iPhone修理店が街中にあふれている中、修理品質や部品がきちんとしているお店、消費者へ安い価格を提供するがゆえに粗悪な部品を使った修理を行っているお店、をぱっと見では見分けることは出来ませんが、登録修理業者制度という制度は国策の通り、消費者保護の観点から修理品質のバロメーターになるのではないかと考えています。
しっかりと法に適合した修理を行いたいのであれば、Appleをはじめとするメーカー・登録修理業者の実質2択となります。
ただ、ガラスをプレスする、基板をさわるなどの根本的な修理には、どんなに待たされても、費用が高くても設備の整った工場での修理が適正でメーカーに委ねるべきです。
しかし、全部品がそれぞれ機能ごとにパーツ化された最近のスマホは業界関係者から見てもインスタントな修理を想定しているように見え、大半の故障・破損はサードパーティの修理業者、登録修理業者による修理で十分だと考えています。
根本的な修理ではないかぎり、現状においては品質が国に保証され、また、待ち時間も費用もちょうどいい登録修理業者がオススメといえそうです。